伝統と若い力を融合して小児科医学の未来へ
小児科医師を目指す医学生や若い先生方へ
東京大学医学部附属病院 小児科
教授 加藤元博
私たちは、皆さんに小児科医としての「おもしろさ」「やりがい」を伝えたいと考えています。こどもたちの幸せを支える「楽しさ」が小児科医のモチベーションの源です。
小児科医には、高い専門性と広い総合性が求められます。こどものあらゆる問題に対応する内科医として、小児診療の総合力を基盤とし、血液/腫瘍・新生児・腎臓・集中治療・循環器・神経・内分泌など、サブスペシャリティ領域の専門家が融合した「チーム」により診療に臨んでいます。小児科医として、総合力をさらに伸ばすのもよし、専門性を磨くもよし、自身の興味に従った分野の知識と経験を得ることで、さまざまな立場でこどもたちのためにかかわることができます。
また、私自身が診療と研究を両立するphysician scientistとして、楽しみながら小児医療・小児医学に取り組んできました。診療と研究の両方の視点を学ぶことで、どちらかだけでは届かなかった着想や理解につながります。ぜひ、診療と研究がもたらす好循環を実感してほしいと考えています。
10年、20年以上先につながる小児医療の継続的な発展のためには、先輩から受け継いだものを、さらに磨き上げて後輩に渡すことが必要です。東京大学小児科のネットワークは先輩方により培われてきた貴重な財産であり、小児の総合診療・専門診療・基礎研究に加え、保健・公衆衛生なども含め、あらゆる領域の専門家との連携が可能です。多様なロールモデルをもとに、みなさんのキャリア形成をともに考え、成長をサポートします。
若手医師、医学生の皆さんには、「知的好奇心」を大事にしてほしいです。知識を受け身で求めるだけでなく、自ら調べ、熟考し、能動的に議論に加わる姿勢を意識してください。診療・研究の場で、どのような根拠を基にしているのか、どのような意図で行われているのか、常に考える習慣を持つことが飛躍的な進歩につながります。そのための環境を私たちは提供します。
こどもたちは小さなこころとからだをいっぱいに使い、困難に対して前向きに立ち向かっています。こどもたちの支援をしながら、我々がこどもたちに育てられていることを実感できると思います。ぜひ、私たちのチームに加わりませんか?